岡田茉莉子の感動的なトークショー
2023年10月29日、岡田茉莉子さん（91）が東京国際映画祭との共催企画「TIFF／NFAJクラシックス 映画監督 吉田喜重『秋津温泉』トークショー」に登壇しました。客席が満席になると、彼女は「こんなに、たくさんの方に見ていただいて…うれしく思います」と感極まって涙を流しました。
この「秋津温泉」は、彼女の夫である吉田喜重監督の代表作の一つで、1962年に公開された松竹映画です。岡田さんは、自身の映画100本記念に吉田監督に監督を依頼し、二人のコンビが始まった作品でもあります。
映画制作の経緯
岡田さんは、自らの手で作品が作られるまでの経緯について語りました。「私が東宝にいたころから、やりたくて何度もお願いしたけれども、ダメと言われた」と当時の思いを回顧しました。松竹に移籍後も映画化が難しいだろうと思われていたものの、「100本記念映画をやるので、やりたいものをどうぞ」との許可を得て制作を開始しました。
特に、吉田監督に依頼した理由については、「（原作が）古い話なので、若い監督がいい」と説明。実際に吉田監督とお会いして口説いたことが、制作に至る重要なポイントとなりました。
吉田喜重監督についての思い
トークショーでは、吉田監督についてのさまざまなエピソードが披露されました。「どこにいても、やりたいことを精いっぱいやった人。ワガママじゃなく、理念が通っているので撮ってきたと思う」と語り、吉田監督の創作姿勢を称賛しました。岡田さんは感情をこめて、吉田監督への愛と尊敬を表現しました。
舩橋監督との親交
トークショーの進行役を務めた舩橋淳監督（50）は、吉田監督との深い親交を持っています。舩橋監督は、岡田さんに対し吉田監督が亡くなって2年が経過したという事実を再確認しました。岡田さんは、国立映画アーカイブが吉田監督のお気に入りの場所であったことに思いを馳せ、「今日も来たかったでしょうね」としみじみと語りました。
上映企画の詳細
特集上映企画「TIFF／NFAJクラシックス 映画監督 吉田喜重」は、11月3日まで国立映画アーカイブで開催されます。吉田監督の劇映画10本に加え、ドキュメンタリー映画3本が上映されます。すべて英語字幕付きで観られるのが魅力です。
このトークショーは、岡田さんの感情豊かな語り口と、吉田監督への深い愛情が感じられる素晴らしい機会でした。観客一人一人が、映画の背後にあるストーリーを知り、深い感動を味わったことでしょう。岡田さんが「また、こういう機会があったら、皆さまとお目にかかりたい」と語った言葉に、今後の展望が期待されます。
